例外

例外とは

Python はスクリプト実行中に、何かのエラーや、処理を中断すべき事情がある場合に例外を送ります。
例外が発生すると、以下の方法で補足しない限り、例外が発生した場所でスクリプトの実行を中止します。

例外は try と except によって捕捉されます。
これを、例外ハンドラと呼びます。
```
try:
    Python 文
except [例外名[, 変数]]:
    Python 文
else:
    Python 文
finally:
    Python 文
```
except に補足したい例外名を与えますが、例外名を与えないとすべての例外を補足します。
except に変数を与えると、例外の引数をとることができます。
else では、例外が送られてこなかったときの処理を記述します。
finally は、例外が送られてきたかどうかに関係なく実行されます。
raise によって例外を発生させることができます。
```
raise [例外[, データ]]
```
raise だけで実行すると、現在発生している例外を、呼び出している関数などに送ります。

ビルトイン例外

Python に元から入っている例外をビルトイン例外といいます。

SyntaxError: 文法に間違いがある場合など。
(例)
>>> def func1() # : を忘れている
File "", line 1
def func1()
　　　　　^
SyntaxError: invalid syntax
ZeroDivisionError: 0 で除算をした場合など。
(例)
>>> 3/0 # 3 を 0 で除算
Traceback (most recent call last):
File "", line 1, in ?
ZeroDivisionError: integer division or modulo by zero
IndexError: リスト・タプルなどで存在しないインデックスを与えた場合など。
(例)
>>> list1 = [0, 1, 2] # リストのインデックスは 2 まで
>>> print list1[3] # リストに存在しないインデックス 3 にアクセス
Traceback (most recent call last):
File "", line 1, in ?
IndexError: list index out of range
KeyError: 辞書などで存在しないキーを与えた場合など。
(例)
>>> dict1 = {'a':1, 'b':2, 'c':3} #
>>> print dict1['d'] #
Traceback (most recent call last):
File "", line 1, in ?
KeyError: 'd'
ValueError: 関数の引数に与えてはならない型のものを与えた場合など。
(例)
>>> int('test') # 数値を引数に取る int() 関数に文字列を与えた
Traceback (most recent call last):
File "", line 1, in ?
ValueError: invalid literal for int(): test
TypeError: 文字列と数値などを + で連結しようとしたときのように、演算できないもの同士を使った計算をしようとしたときなど。
(例)
>>> 'test' + 3 # 文字列と数値を + で演算
Traceback (most recent call last):
File "", line 1, in ?
TypeError: cannot concatenate 'str' and 'int' objects
NameError: 変数や関数名が見つからないときなど。
(例)
>>> func100() # 存在しない関数 func100() を実行
Traceback (most recent call last):
File "", line 1, in ?
NameError: name 'func100' is not defined

例外の例

例 1

以下の Python スクリプトを except1.py という名前で保存します。

def func1(x):
    return 1/x

def except1():
    try:
        func1(0)
    except ZeroDivisionError:
        print 'divied zero'

スクリプトエディタの ファイル → スクリプトのロード によって except1.py を読み込んで、テンキーの Enter キーなどで実行します。
以下のようにスクリプトエディタのインプットウインドウに入力してみます。
>>> func1(0) # 0 で除算
Traceback (most recent call last):
File "", line 1, in ?
File "", line 2, in func1
ZeroDivisionError: integer division or modulo by zero
>>> except1() # ZeroDivisionError を処理
divied zero

例外の使用例

例外を使って簡単な実験をして見ます。
Python では例外が発生すると、そこで実行がとまってしまいますが、 try と except を使用することで実行を継続することができます。

以下の Python スクリプトを except1.py という名前で作ります。

import pymel.core as pm

def makeObj(num):
    objs = [pm.sphere, pm.cone, pm.cylinder]
    objs[num]()

def createObjs():
    for i in range(3, -1, -1):
        try:
            makeObj(i)
        except IndexError:
            print i," is not correct"
        else:
            print i," is ok"

スクリプトエディタの ファイル → スクリプトのロード によって except1.py を読み込んで、テンキーの Enter キーなどで実行します。
スクリプトエディタのインプットウインドウで以下のように実行してみます。
>>> createObjs()
3 is not correct
2 is ok
1 is ok
0 is ok

スクリプトの解説

import pymel.core as pm: Maya モジュールをインポートします。
def makeObj(num):: makeObj という関数を定義します。
引数の num は、作成するプリミティブの番号を表します。
objs = [pm.sphere, pm.cone, pm.cylinder]: リストにプリミティブを作成する関数を並べます。
Python では、関数もリストの要素になります。
objs[num](): リスト objs の num 番目の関数を実行します。
def createObjs():: createObjs という関数の定義です。
for i in range(3, -1, -1):: 変数 i に 3 から 0 までの int を代入してループを 4 回実行します。
range(3, -1, -1) は [3, 2, 1, 0] というリストを作成する関数です。
try:
　　makeObj(i): makeObj(i) を実行して、例外が上がると下の except で補足します。
ループの最初に i が 3 なので、リスト objs の範囲を超えてしまうので、例外 IndexError が発生します。通常は、例外が発生した時点で実行が中断されるので、 i が 2, 1, 0 の場合は実行されないままですが、 try と except があるので実行が中断されません。
except IndexError:
　　print i," is not correct": IndexError という例外が上がってきたら、 print を実行します。
IndexError 以外の例外が上がってきた場合は、ここで補足される事は無くて、通常のエラーメッセージを表示します。
else:
　　print i," is ok": 例外が上がってこなかったら、この print を実行します。

練習

上の except1.py を参考にして except2.py という Python スクリプトを作り、 except2.py 中の makeObj() 関数を書き直して、作成したプリミティブをスケールできるようにしてみましょう。
def makeObj(num, sv):

num
作成するプリミティブの番号
sv
スケール値
作成したプリミティブが X, Y, Z 方向に 1.0/sv 倍スケールされるようにします。
この except2.py を読み込んで、makeObj() を実行したときに、 sv が 0 の場合も例外を補足して実行が続くようにしてみましょう。
(実行例)
1. createObjs() の for 文を以下のように書き換えます。
```
        for i in range(3, -1, -1):
            for j in range(3):
                print i,j
    
```
2. 同じく、createObjs() の makeObj(num) を以下のように書き換えます。
```
    makeObj(i, j)
    
```
3. その他、必要な変更を except2.py に加えます。
4. スクリプトエディタの ファイル → スクリプトのロード によって except2.py を読み込んで、テンキーの Enter キーなどで実行します。
5. スクリプトエディタのインプットウインドウで以下のように実行してみます。
  >>> createObjs()
  3 0
  0 is zero
  3 1
  3 is not correct
  3 2
  3 is not correct
  2 0
  0 is zero
  2 1
  2 1 is ok
  2 2
  2 2 is ok
  1 0
  0 is zero
  1 1
  1 1 is ok
  1 2
  1 2 is ok
  0 0
  0 is zero
  0 1
  0 1 is ok
  0 2
  0 2 is ok
6. 以下のように 6 個のプリミティブが作成されます。

参考

Python クイックリファレンス
- 例外
Python Tips
PyMEL Tips
Maya
Maya, MEL 関係(Tips, FAQ, コマンド)のページ

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