変数

変数とは何か

MEL スクリプトにおいて、 計算結果の数値や文字列などを覚えさせておくためには、変数を使います。
たとえば、ある同じ数値を、 スクリプト中の複数の箇所で使いたい場合には、変数に数値を覚えさせておいて、数値の代わりに使うと便利です。
変数に、 数値や文字列を入れるには代入という操作をおこないます。
また、変数には名前がついています。 規則にしたがう限り好きな名前で、いくつでも変数を定義することができます。

MEL の変数を使うときには、以下の事項を注意してください。

以下に、C 言語の知識がある人のために、C 言語と比べたときの文法上の違いをあげておきます。

変数の例

半径を 1 づつ小さくしながら、 3 個の球体を接しながら並べる MEL スクリプトを、プロシージャと変数を使って作ってみましょう。
プロシージャの引数(int $r)に 1 個目の球体の半径を与えて実行すると、 2 番目以降の球体は半径が 1 づつ小さくなって作られてゆくようにします。

  1. 以下の内容で、make3Sphere1.mel というファイル名の MEL スクリプトを、 テキストエディタ(gvim)によって作成します。
    global proc make3Sphere1(int $r)
    {
    	int $m;
    
    	sphere;
    	scale $r $r $r;
    
    	sphere;
    	$r -= 1;
    	scale $r $r $r;
    	$m = 2 * $r + 1;
    	move $m 0 0;
    
    	sphere;
    	$r -= 1;
    	scale $r $r $r;
    	$m += 2 * $r + 1;
    	move $m 0 0;
    }
    
  2. スクリプト エディタ の ファイル → ソーススクリプト によって make3Sphere1.mel を読み込みます。
  3. スクリプト エディタ のインプットウインドウに make3Sphere1(3) と打ち込んで実行します。
  4. 下図のような半径 3、2、1 の 3 個の球体が作られます。
    [make3Sphere1(3)の実行結果]
  5. さらに make3Sphere1(4)make3Sphere1(5) などを実行してどのような結果になるか試してみましょう。
    (注意)
    実行前に、 シーンの中のオブジェクトを消去または移動してから実行しないと、 オブジェクトが重なって見にくいかもしれません。

スクリプトの解説

global proc make3Sphere(int $r)
int の引数($r)を 1 個とるプロシージャの宣言です。
$r は最初の球体の半径になります。
プロシージャに引数をつけることによって、 プロシージャの中の数値をいちいち書き換えなくても、 球体の半径を変更して実行することができるようになります。
このプロシージャでは $r の値が 3 未満だと、 マイナスの半径の球体ができてしまうことに注意して下さい。
int $m;
球体を移動するための値を入れておく変数。
sphere;
1 個目の球体を作ります。
scale $r $r $r;
1 個目の球体の半径は $r なので球体を $r だけスケールします。
sphere;
2 個目の球体を作ります。
$r -= 1;
2 個目の球体の半径は 1 個目より 1 小さいので $r から 1 を引いておきます。
scale $r $r $r;
2 個目の球体を $r だけスケールします。
1 個目の球体よりも1だけ小さい半径になります。
$m = 2 * $r + 1;
2 個目の球体を移動する距離を求める計算式です。
$r は 2 行前の計算($r -= 1;)によって 1 個目の球体の時より 1 だけ小さくなっているので、 ここの時点で 1 個目の球体の半径は $r + 1 になります。
それと 2 個目の球体の半径($r)を加えれば 2 つの球体の間の距離になります。
$m = ($r + 1) + $r
この式をまとめて以下のようになります。
$m = 2 * $r + 1
[隣り合う2つの球体]
move $m 0 0;
2 個目の球体を X 軸方向に $m だけ移動します。
sphere;
3 個目の球体を作ります。
$r -= 1;
3 個目の球体の半径は 2 個目より 1 小さいので $r から 1 引きます。
scale $r $r $r;
3 個目の球体を $r だけスケールします。
$m += 2 * $r + 1;
3 個目の球体を移動する距離を求める計算式です。
2 個目と 3 個目の球体の距離の計算方法は、1 個目と 2 個目の場合と同じになります。
この時点で、$m にはすでに 2 個目までの距離が入っているので、 それに 2 個目と 3 個目の距離を加えれば良いでしょう。
$m = $m + ($r + 1) + $r
右辺をまとめます。
$m = $m + 2 * $r + 1
+= で式を簡単にします。
$m += 2 * $r + 1
[隣り合う3つの球体]
move $m 0 0;
3 個目の球体を X 軸方向に $m だけ移動します。

練習

まとめ

練習課題

参考


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