ベクトルとは数をいくつか並べたものです。
Maya では 3 つの数を並べた 3 次元ベクトルを扱います。
3 つの数は空間座標の X 、 Y 、 Z 座標
色を表す RGB や HSV など、
3 つの数で表されるものなら何でもベクトルになります。
一般に数学の世界では 3 次元ベクトルを (x, y, z) のように表しますが、
Maya では <<x, y, z>> のように表します。
ベクトルを図で表す場合は、ある点から別の点に引かれた矢印として表されます。 つまり、ベクトルは長さと方向を持った量と考えられます。
ベクトルは長さと方向が同じならば、どの点から始まっていても、すべて同じものと考えます。
例えば、
点 (0, 0, 0) から (1, 2, 3) までの矢印(ベクトル)と、
点 (2, 3, 4) から (3, 5, 7) までの矢印(ベクトル)とは、
等しいベクトル
<<1, 2, 3>>
になります。
ベクトルの演算には加算・減算と積がありますが、 積には以下の 3 種類あるのが普通の数と違っているところです。
ベクトル同士の加算(足し算)は以下のように各要素を加算するだけです。
図によって表現する場合は、 2 つのベクトルによって作られる平行四辺形の対角線が結果のベクトルになります。
または、片方のベクトルの始点を、もう一方のベクトルの終点にあわせても求められます。
ベクトル同士の減算(引き算)は以下のように各要素を減算します。
図によって表現する場合は、 減算する方のベクトルと長さが同じで向きが逆向きのベクトルと加算すれば求められます。
または、2 つのベクトルの終点同士を合わせて始点同士を結んでも求められます。
ベクトルに普通の数値をかけ算する演算をスカラー積と言います。
これは、ベクトルの方向を同じに保ったまま、
長さを変化させる演算です。
以下のように、あるベクトルに 3 をかけると、ベクトルの長さが 3 倍されます。
Maya の MEL においては、 スカラー積の計算は int または float の数または変数とベクトルを * 演算子によって計算することで行うことができます。
vector $a = <<1, 2, 3>>;
vector $b = 4 * $a;
// Result: <<4, 8, 12>> //
float $c = 2.5;
vector $d = $c * $b;
// Result: <<10, 20, 30>> //
ベクトルの概念が明確に現れるのは 19 世紀から 20 世紀の始めにかけてです。
最初は、19 世紀に
Caspar Wessel (1745 〜 1818), Jean Robert Argand (1768 〜 1822), Carl Friedrich Gauss (1777 〜 1855) などによって、
複素数を幾何学的に表現するために考え出されました。
ベクトルの現代的な記法を最初に使ったのは、「ベクトル解析の父」と呼ばれる J. Willard Gibbs (1839 〜 1903) です。