フィールド

フィールドとは

フィールドを使うことによっては、自然界にある様々な力をシュミレートしてアニメーションを実行することができます。
フィールドは、ソフトボディ・リジッドボディ・パーティクルに作用します。ソフトボディ・リジッドボディについての詳しいことは、マニュアルまたは、他の章を参照してください。
Python において、オブジェクトにフィールドを作用させるためには、以下のコマンドでパーティクル・ソフトボディ・リジッドボディなどにコネクトする必要があります。
maya.cmds.connectDynamic(オブジェクト名, fields=フィールド名)

フィールドの種類

スタンドアローンフィールド
どのオブジェクトにも属さない単独のフィールドで、独自に移動することができます。

大気(air)
気体の動きをシュミレートするフィールド
ドラッグ(drag)
オブジェクトの動きに対して摩擦のような力が働くフィールド
重力(gravity)
重力をシュミレートするフィールド
ニュートン(newton)
2つのオブジェクトが引力によってお互いに引きあう動きをシュミレートするフィールド
放射状(radial)
磁石のようにある点から離れたり、吸いつくような動きをシュミレートするフィールド
乱気流(turbulence)
乱気流のようにランダムな動きを起こさせるフィールド
均一(uniform)
オブジェクトを一方向へ動かすフィールド
渦(vortex)
渦や竜巻のような動きをシュミレートするフィールド
ボリューム軸(volumeAxis)
ある空間領域内で働くフィールドを定義できる
オブジェクトフィールド
オブジェクト(ポリゴン、NURBSカーブ・サーフェース、パーティクル、ラティス、カーブオンサーフェース)に属すことができるフィールドです。
フィールドが属しているオブジェクトの動きによってフィールドが作用します。
ひとつのオブジェクトには複数のフィールドが属することができ、すべて、または一部の CV、エディトポイント、頂点、ラティスポイントの動きによってフィールドが作用するようになります。
オブジェクトフィールドを使うと、キャラクターが歩くと共に、ほこりが舞上がるようなアニメーションを作ることができます。
オブジェクトフィールドにすることのできるフィールドは以下の通りです。
- 大気
- ニュートン
- 放射状
- 乱気流
- 均一
- 渦
空間領域フィールド
影響範囲を立方体・球・シリンダ・コーン・トーラスなどの空間領域に限定することができるフィールドです。
すべてのフィールドを空間領域フィールドにすることができます。

フィールドの使用例 (大気)

エミッターから発生するパーティクルが大気フィールドによって飛ばされるアニメーションを、以下のプロシージャーによって作ってみましょう。

以下の Python スクリプトを makeField1.py という名前で作る。


import maya.cmds

def makeField1():
    maya.cmds.particle(p=(0, 5, 0))
    ename = maya.cmds.emitter(type='direction', dx=0.0, dy=-1.0, dz=0.0, spread=0.2, rate=3)
    pname = maya.cmds.particle()
    maya.cmds.connectDynamic(pname[0], emitters=ename[0])
    aname = maya.cmds.air(pos=(3, 0, 0), maxDistance=5.0, magnitude=1.0, dx=-1.0, dy=0.0, dz=0.0)
    maya.cmds.connectDynamic(pname[0], fields=aname[0])

スクリプトエディタの ファイル → スクリプトのロード によって makeField1.py を読み込んで、テンキーの Enter キーなどで実行します。
スクリプトエディタ の下のウインドウから makeField1() と打ち込んで実行します。
プレイバックしてアニメーションを実行します。

上図はわかりやすくするためにパーティクルのレンダータイプアトリビュートを球体に変えて表示しています。

スクリプトの解説

import maya.cmds

maya.cmds モジュールをインポートします。

def makeField1():

makeField1() という関数の宣言です。

maya.cmds.particle(p=(0, 5, 0))

パーティクルを(0, 5, 0)の位置に作ります。
この位置からパーティクルを発生させます。

ename = maya.cmds.emitter(type='direction', dx=0.0, dy=-1.0, dz=0.0, spread=0.2, rate=3)

そのパーティクルに対して Y 軸に対して下方向に発生・運動するエミッターを作り、作られたエミッターの名前を ename に代入します。
ename[0] にパーティクルのトランスフォームノード、 ename[1] にエミッターノードの名前が代入されます。

pname = maya.cmds.particle()

emitter によってパーティクルが追加されてゆくパーティクルオブジェクトを作ります。
pname[0]にパーティクルのトランスフォームノード、 pname[1]にパーティクルのシェープノードが代入されます。

maya.cmds.connectDynamic(pname[0], emitters=ename[0])

エミッター(ename[0]) とパーティクル(pname[0])をコネクトします。これでエミッターからパーティクルを発生するようになります。

aname = maya.cmds.air(pos=(3, 0, 0), maxDistance=5.0, magnitude=1.0, dx=-1.0, dy=0.0, dz=0.0)

スタンドアローンフィールドの大気フィールド作ります。
作られた大気フィールドの名前を aname[0] に代入しておきます。
各フラグの意味は以下の通りです。

pos=(3, 0, 0): 位置は(3, 0, 0)
maxDistance=5.0: 大気フィールドの力の届く範囲は、大気フィールドから 5.0 の距離まで
この値が -1 であればコネクトされているすべてのパーティクルに大気の影響がおよぶようになります。
magnitude=1.0: 大気フィールドの力の強さ
dx=-1.0, -dy=0.0, -dz=0.0: -magnitude の方向
ここでは X 軸に平行でマイナス方向です。

maya.cmds.connectDynamic(pname[0], fields=aname[0])

大気フィールド(aname[0])をパーティクル(pname[0])にコネクトします。これでパーティクルが大気フィールドによって影響されるようになります。

フィールドの使用例(newton)

エミッターから発生するパーティクルが newton フィールドによって NURBS 平面の中に吸い込まれてゆくアニメーションを、以下のプロシージャーによって作ってみましょう。

以下の Python スクリプトを makeField2.py という名前で作ります。


import maya.cmds

def makeField2():
    maya.cmds.particle(p=(5, 10, 0))
    ename = maya.cmds.emitter(type='direction', dx=0.0, dy=-1.0, dz=0.0, spread=0.2, rate=3)
    pname = maya.cmds.particle()
    maya.cmds.connectDynamic(pname[0], emitters=ename[0])
    maya.cmds.nurbsPlane()
    maya.cmds.scale(0, 10, 10)
    nname = maya.cmds.newton(magnitude=1.0, maxDistance=8.0, attenuation=0.98)
    maya.cmds.connectDynamic(pname[0], fields=nname[0])

スクリプトエディタの ファイル → スクリプトのロード によって makeField2.py を読み込んで、テンキーの Enter キーなどで実行します。
スクリプトエディタ の下のウインドウから makeField2() と打ち込んで実行します。
プレイバックしてアニメーションを実行します。

上図はわかりやすくするためにパーティクルのレンダータイプアトリビュートを球体に変えて表示しています。

スクリプトの解説

スクリプトの前半は makeField1.mel と同じなので、後半のみ解説します。

maya.cmds.nurbsPlane()

後でフィールドを属させるための NURBS 平面を作ります。

maya.cmds.scale(0, 10, 10)

アニメーションを見やすくするために、適当にスケールをかけておきます。

nname = maya.cmds.newton(magnitude=1.0, maxDistance=8.0, attenuation=0.98)

NURBS 平面に属するオブジェクトフィールドを作成します。
NURBS 平面はセレクトされた状態なので名前を指定する必要はありません。
各フラグの意味は以下の通りです。

magnitude=1.0: フィールドの強さは 1.0
maxDistance=8.0: フィールドの作用する距離が 8.0
attenuation=0.98: フィールドの減衰率
フィールドとパーティクルの距離が大きくなるに従って 0.98 乗づつ強さが小さくなります。
この値が 0 だと距離に関係なく力は一定になります。 (デフォールトの値は 0 です)

maya.cmds.connectDynamic(pname[0], fields=nname[0])

ニュートン フィールド(nname)をパーティクル(pname)にコネクトします。これでエミッターによって作られたパーティクルが ニュートン フィールドによって影響されるようになります。

その他のフィールドの使用例

gravity コマンドの使用例


import maya.cmds

def makeGravity():
    ename = maya.cmds.emitter(pos=(0, 0, 0), type='direction', dx=0, dy=1, dz=0, spread=0.2, speed=15.0, rate=100)
    pname = maya.cmds.particle()
    maya.cmds.connectDynamic(pname[0], emitters=ename[0])
    gname = maya.cmds.gravity(pos=(0, 0, 0), magnitude=9.8, dx=0 ,dy=-1 ,dz=0)
    maya.cmds.connectDynamic(pname[0], f=gname[0])

drag コマンドの使用例


import maya.cmds

def makeDrag():
    ename = maya.cmds.emitter(pos=(0, 0, 0), type='direction', dx=0, dy=1, dz=0, spread=0.2, rate=3)
    pname = maya.cmds.particle()
    maya.cmds.connectDynamic(pname[0], emitters=ename[0])
    dname = maya.cmds.drag(pos=(0, 0, 0), magnitude=0.3, dx=0, dy=1, dz=0)
    maya.cmds.connectDynamic(pname[0], f=dname[0])

radialコマンドの使用例


import maya.cmds

def makeRadial():
    ename = maya.cmds.emitter(pos=(0, 0, 0), type='direction', dx=0, dy=1, dz=0, spread=0.2, rate=3)
    pname = maya.cmds.particle()
    maya.cmds.connectDynamic(pname[0], emitters=ename[0])
    rname = maya.cmds.radial(pos=(-2, 5, 0), magnitude=-2.0, maxDistance=3.0)
    maya.cmds.connectDynamic(pname[0], f=rname[0])

turbulence コマンドの使用例


import maya.cmds

def makeTurbulence():
    ename = maya.cmds.emitter(pos=(0, 0, 0), type='direction', dx=0, dy=1, dz=0, spread=0.2, rate=3)
    pname = maya.cmds.particle()
    maya.cmds.connectDynamic(pname[0], emitters=ename[0])
    tname = maya.cmds.turbulence(pos=(0, 5, 0), magnitude=2.0, maxDistance=3.0)
    maya.cmds.connectDynamic(pname[0], f=tname[0])

uniform コマンドの使用例


import maya.cmds

def makeUniform():
    ename = maya.cmds.emitter(pos=(0, 0, 0), type='direction', dx=0, dy=1, dz=0, spread=0.2, rate=3)
    pname = maya.cmds.particle()
    maya.cmds.connectDynamic(pname[0], emitters=ename[0])
    uname = maya.cmds.uniform(pos=(-2, 5, 0), magnitude=2.0, maxDistance=3.0)
    maya.cmds.connectDynamic(pname[0], f=uname[0])

vortex コマンドの使用例


import maya.cmds

def makeVortex():
    ename = maya.cmds.emitter(pos=(0, 0, 0), type='direction', dx=0, dy=1, dz=0, spread=0.2, rate=50)
    pname = maya.cmds.particle()
    maya.cmds.connectDynamic(pname[0], emitters=ename[0])
    vname = maya.cmds.vortex(pos=(0, 0, 0), magnitude=0.15, maxDistance=30.0, ax=0, ay=1.0, az=0)
    maya.cmds.connectDynamic(pname[0], f=vname[0])

練習

使用例の makeField1.py を参考にして、makeField3.py を作り、 大気 フィールドの速度(magnitude)の値と、その方向(dx, dy, dz)を引数で変化させることができるようにしてみましょう。
(プロシージャーの名前と引数)
makeField3(速度, X方向, Y方向, Z方向)
使用例の makeField2.py を参考にして、makeField4.py を作り、 ニュートン フィールドの強さ(magnitude)の値と、最大距離(maxDistance)と力の変化(attenuation)を引数で変化させることができるようにしてみましょう。
(プロシージャーの名前と引数)
makeField4(強さ, 最大距離, 力の変化)

参考

パーティクル
エミッター
コマンドリファレンス
- air
- newton
Maya
Maya, MEL, Maya関係のコマンドなどのページ。
- 噴水の作り方

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